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吉川氏の報告は①日本の危機管理は危機発生時のものであり、危機防止という観点からは極めて脆弱である。②日本政府の組織対応では内閣府と内閣官房の連携が東大出身者中心の官僚機構の中で必ずしもうまく機能していない。③日本の危機防止体制には米国のような国土安全保障省やその傘下のFEMA(連邦緊急事態管理庁)のような統合組織がなく、警察、消防、自衛隊そして中央政府、地方自治体の間のセクショナリズム問題が根底に横たわっている。④ネット上で飛び交うテロ情報の監視は個人情報保護の壁により困難な面もあるが、今後強化すべき。等々、多面的に展開された。(詳細は吉川氏講演草稿参照 ) 吉川氏の講演の後、タイ語通訳を入れて約40分間の限られたQ&Aセションであったが、熱心な質問が矢継ぎ早に展開された。国際テロへの不安が常態化しているタイからの参加者にとっては、吉川氏が「白日にさらした」日本、そして東京の危機管理力の実態に対しては、「4年後のオリンピックはホントに大丈夫か?」という「不思議の国ニッポン」に対する驚きと心配が錯綜していた。同じアジアの中でも我々日本人が危機に対して如何に“鈍感”な国民であるかを思い知らされた交流セミナーであった。 (文責:一橋総研 市川周)
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