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再び、この国は「外圧」との緊張感の中で「国の作り直し」に入っていかざるをえないでしょう。 「外圧」の最大の舞台は勿論アジアです。この事でいつも思い出すのは、高杉晋作が1862年の5月から7月にかけて上海に視察滞在した時に書いた日記です。彼はこの中でヨーロッパ列強に植民地化されていく上海を目の当たりにしながら日本の将来を愁います。
上海日記は中国衰退の最大の原因が清朝の頑迷な鎖国政策にあったと見抜いて終っています。但し、晋作が上海から帰国後、5年ばかりの残された生涯を疾走しながらやった事は、徳川幕府を倒すための徹底した反開国=攘夷の断行でした。一方、幕末の長州藩にはスケールの大きい開国論もありました。同藩直目付長井雅楽が提唱した「航海遠略策」です。いつまでも旧弊の鎖国にこだわらず、積極的に先進文明を持つ諸外国と交際し国力の充実に務める。将来はアジアに進出してきている列強と同等の立場に持っていくべしという構想です。 しかし、この主張は開国路線を推進しようとする徳川幕府を容認するものであり、倒幕への激しい力学の中で一時的に息の根を止められます。晋作自身、幕府を倒してから「航海遠略策」をやろうと思っていたに違いありません。彼の後継者達がその志と戦略を継ぎました。
今、私たちは高杉晋作の危機感と情熱をもって、21世紀の日本にとっての「航海遠略策」を用意しなければなりません。それこそが一橋総研「アジア部会」の使命であります。但し、新たなビジョンを旧体制の延命の道具に使わせてはなりません。絵に描いた餅に終わるのが関の山です。今年のゴールデンウィークに小泉純一郎首相がシドニーで「アジア拡大コミュニティー構想」を提唱しましたが、現地の記者達の質問は日本経済の長期低迷や不良債権の問題に集中しました。誰も衰弱しかかっている国の外交構想などには耳を傾けようとはしません。アジア部会はこれから21世紀版「航海遠略策」を練り上げていきますが、他の部会とともに「この国の作り直し」という差し迫る"倒幕運動"への想いを一時も忘れずに進めて行こうと思います。
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