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広島市議会議員 平野博昭 氏

《特別寄稿》新球場建設とカープの経営方針について

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

 私はホームページで、これまで幾度となく新球場建設問題について取り上げてきた。特に最近では、単にハードの部門だけでなく、ソフトの問題として「広島東洋カープの経営方針」について述べている。

 私の指摘は端的に言うと「経営の透明化や責任ある将来展望を明らかにすべき」ということである。これに対して、松田元オーナーは「球団経営の透明化については、これまでも公表しているつもり」と発言している。しかし、球団経営に係る具体の状況や方針がこれまでオープンにされた実態は見受けられない。

 先般、一般には公開されていない?広島東洋カープの営業報告書(第49期(平成16年1月1日〜平成16年12月31日))を入手した。わずか10ページばかりの報告書には「営業状況」や「会社の概況」として最低限の指標は掲げられているものの、今後、カープをどのように運営していこうという経営方針は見当たらないしその意気込みも伝わってこない。

 また、「株式の状況」を見ると、現在の株主数はたったの9人である。筆頭株主はマツダ?で34.2%、次は松田元オーナーの20.4%、後は系列の会社と松田家の親族で固められている。私たちが市民球団と思っているカープは、実は特定少数の株主で占められているのである。

 そもそも「経営の透明化」とは単に財務諸表をオープンにしろということではない。私が言っているのは、「責任ある将来展望」を開くためには「経営の透明化」が必要ということなのだ。単刀直入に言うと、市民の財産であるカープ球団は、マツダや松田家が半ば独占的に所有するのではなく、名実ともに市民球団としてのあるべき態勢にすべきだということなのである。

 何故かというと、カープが将来とも「広島カープ」であり続けるためには、強いカープが必要なのである。そのためには特に選手の育成強化に力を注がなければならず、それを実行しようとすれば、資金力を増強して市民の夢が叶うような力強い経営力が必要になる。7年連続でBクラス、今年もダントツで最下位争いではとても市民の財産として誇れるものではない。まずは、チーム力の強化に繋がる将来ビジョンを明確にすることを経営者に求めたいということである。

 先代の松田耕平オーナーは、カープアカデミーをドミニカ共和国に開校し、海外での選手の発掘、育成を実行された。アメリカ教育リーグへの参加や国内で初めての屋根付練習場を整備されるなど、カープを「市民」の宝として育てるため、先見性のある環境づくりに努められてきた。しかし、残念ながら現オーナーの松田元氏には、こうした「責任ある将来展望」には全く手を付けられていない。

 こうした中、今世間を騒がせているのは新球場の建設問題ばかりである。新球場建設のタイムリミットを前に耳にするのは「現在地か」「貨物ヤードか」という声ばかりである。しかし、これではカープが広島の球団としてあり続けるための本質的な問題が御座なりになっているのではないだろうか。

 ここは一つ、原点に立ち返って見つめ直すべきである。ハード部門は公設民営で市が中心となって進めればいい。建設協力は、県がそれなりのバックアップをしてくれるだろうし、カープも主たる使用者として応分の負担をすればいいのである。

 問題はソフト部門の強化である。前述したように市民に夢と希望を持たせるには、カープのチーム力強化が必要であり、そのための経営力アップが不可欠なのである。その手法としては経営資本の増強が考えられるが、経済界にはそのための増資に力を注いで欲しいのである。もちろんこれには企業だけでなく、個人資本があっていいと思う。

 つまり、「親会社」のないカープを「企業」や「市民」の力で強いチームに育て上げることが肝要であり、それを実行するのであれば、その基盤となる球団経営には当然ながら透明性が求められるということである。こうした本質的な問題に、今こそ手を付けなければならないということを申し上げたいのである。

 近い将来1リーグ制の話が復活する恐れがある。その場合、今のカープの経営力であれば、新球場があろうがなかろうが、カープが一番先にオミットされるのは間違いない。そのようなことにならないようソフトの経営基盤を強化し、市民に夢の持てるチーム力にすることが今一番求められているのだと思う。

 故松田耕平さんは、ルーツ氏を招聘し赤ヘルブームを到来させた。そして、ルーツ氏から引き継いだ古葉監督が夕闇迫る後楽園球場で胴上げされたときの感激は多くの市民が忘れられないだろう。球界のお荷物と言われたカープが球界の雄ジャイアンツを下し初優勝したのである。シーズン終了後の優勝パレードが平和大通りを人の渦にして、その興奮と一体感が後にフラワーフェスティバルを生み出したわけである。

 今でも多くの市民の脳裏に焼き付いているこの光景が、完全に過去に葬り去られたものとならないよう、経営者と企業、市民が何をすべきか、もう一度考え直す必要があると思うのである。

平野博昭 / HIROAKI HIRANO
広島市議会議員
広島県広島市西区出身。立教大学法学部卒、昭和58年から広島市議会議員に6期当選。市議会において数々の役職を歴任。
http://www7.ocn.ne.jp/~hirano30/(公式サイト)
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