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2018年09月27日

一橋総研三田経済研ジョイントセミナー

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第7回目の一橋総研・三田経済研ジョイントセミナー「エネルギーイノベーションと核融合開発―「ウランを使わない原子力エネルギー」の可能性を問う」
By 石井 康友 氏
量子科学技術研究開発機構 六カ所核融合研究所

  

何故、核融合は人類究極のエネルギーなのか?

一言で言えば無尽蔵で安全安心なエネルギーだ。核融合とは重水素と三重水素を1億度を超える超高温状態にすることで、両方の原子核がぶつかりくっついてしまいヘリウムと中性子が出てくる現象。ヘリウムと中性子の質量は核融合前の重水素・三重水素の質量を下回り、この質量差が膨大なエネルギー(燃料1グラムで石油8トン分)を生み出す。

この水素の同位体自体は海中から取り出せるため無尽蔵。これに対してウランの核分裂による「原発」はウラン自体が有限資源であるうえ、核融合ではほぼゼロである高レベル放射性廃棄物を出す。安全安心の観点では、核融合炉は事故、不具合で高温状態が維持出来なくなると核融合自体が停止してしまう。

核融合発電はいつ実現するのか?

この夢のエネルギーはいつ人類のものとなるのか?正直、まだまだ時間がかかる。課題は1億度を超える超高熱状態の核融合炉をどう実現させるかだ。1つの見通しとしては今世紀後半までに核融合炉を稼働させ、2100年ぐらいには発電エネルギーの25%〜30%を担い、「原発」(核分裂発電)と合わせて原子力発電で50%前後のシェアを有する姿が描かれている。しかし、核融合発電がここまで貢献するにはコストダウンの実現が前提になる。

イーター(ITER:国際熱核融合実験炉)計画とは?

2007年から日本・EU・ロシア・米国・韓国・中国・インドの7カ国・地域の国際協力で、南フランス・カデラシで建設が始まったイーター(ITER:国際熱核融合実験炉)は核融合の原型炉をつくる前の実験装置で、重水素と三重水素を超高熱化したプラズマ状態にして閉じ込め、電気エネルギーに変換できる熱エネルギーを如何に長時間制御できるかを実証するもの。イーターは2025年ぐらいまでに完成させ、10年ぐらいかけてプラズマ実証実験を展開、2035年頃には原型炉を建設するかどうかを決定する。この期間に原型炉建設に向けた要素技術の開発も進める。

イーター計画の要はブランケットという装置。核融合反応で出て来るヘリウムと中性子のうち、エネルギー自体は中性子がより沢山有しており、この中性子エネルギーを熱に変えるのがブランケット。ブランケットは又、核融合炉の中で三重水素をつくり出すこともできる。その意味でブランケット技術は「知財のかたまり」とも言え、イーターという国際協力の舞台で熾烈な各国間競争が展開されている分野でもある。

イーター計画と中国

現在、イーター計画に積極的なのがイーターの建設場所を持つEUだが、日本もこの建設場所設定でEUと競り合った経緯もあり熱心なメンバーである。将来、イーターから本格的な原型炉建設に向かった場合、その候補地としてEUは日本を支持するという観測もある。一方、米国は石油・天然ガスにおけるエネルギー大国というポジションにあることからかEUや日本に比べやや消極的。

一方、中国は技術レベルでの優位性は限定的であるが、今後のイーター計画の資金ニーズには十分応える姿勢が感じられる。もし日本やEUがイーター計画の進捗の遅さにしびれを切らして撤退ということになれば、イーター資産は残留グループの総取りということになり、核融合開発における中国のプレゼンスが高まる可能性もある。

核融合開発と産業イノベーション

核融合開発への挑戦は原子力発電における一大イノベーションであるだけでなく、他産業分野のイノベーションの牽引力にもなっている。例えば自動車のバッテリーや電池の重要資源であるリチウム。リチウムは核融合に必須の三重水素をつくるのに用いられるが、埋蔵量は限界的で10年以内に資源不足が危惧されている。日本の核融合研究チームは海水中のリチウムの濃縮化技術を開発し、その回収速度を飛躍的に高め、リチウム国産化の道を切り拓らこうとしている。

また、核融合で発生する高エネルギー中性子を大量かつ高速で取り出す超伝導加速器を利用した中性子源も開発しており、従来、ほとんど輸入に頼っていた放射線医薬品の国産化の道を広げつつある。

(文責:一橋総研 市川周)

概要
共 催一橋総合研究所
三田経済研究所
日 時2018年9月27日(木) 18:30〜20:30頃
テーマ「エネルギーイノベーションと核融合開発」
―「ウランを使わない原子力エネルギー」の可能性を問う

依然迷走する日本のエネルギー基本計画の最大の問題は原発の位置づけだ。現状1%レベルまで縮小した原発依存度を2030年には20%台に復活させるとしているが、その道筋は全く見えない。そこで注目したいのが現行の核分裂炉でなく、核融合炉によるウランを使わない「もう1つの原発」である。エネルギー基本計画では核融合に一行も触れていないが、ここ数十年日本でも世界トップ水準の研究開発が黙々と重ねられている。果たして核融合は夢に終わるのか?それとも日本のエネルギーイノベーションの壁を突破することになるのか?核融合研究の第一線で活躍されている石井康友氏に聞く。
講 師■石井康友氏(量子科学技術研究開発機構 六カ所核融合研究所)

核融合炉システム研究開発部 BA計画調整グループリーダー
京都大学工学部原子核工学科卒業 同大学院博士課程修了 工学博士 専門はプラズマ物理学。
核融合炉心プラズマの理論・シミュレーション研究、特に電磁流体力学を専門として研究。核融合原型炉の開発を目指す量子科学技術研究開発機構(QST)六カ所核融合研究所の上席研究員兼BA計画調整グループリーダー
場 所東京都千代田区一ッ橋2-1-1 如水会館 14F 「記念室東」

東京メトロ東西線竹橋駅下車 1b出口 徒歩4分
東京メトロ半蔵門線神保町駅下車 A8・A9出口 徒歩3分
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都営地下鉄新宿線神保町駅下車 A8・A9出口 徒歩3分
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