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2018年06月11日

一橋総研三田経済研ジョイントセミナー

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第6回目の一橋総研・三田経済研ジョイントセミナー「「米朝首脳会談後」の世界に日本はどう立ち向かうか?」
By 古森 義久 氏  産経新聞ワシントン駐在客員特派員

  

トランプのマッドマン戦略

 古森氏の講演は、なんと首脳会談前日の6月11日となり、会場には熱気と緊張感、なによりも世界現代史の真っ只中で議論に参加している臨場感のようなものが漂っていた。首脳会談自体の結果予測について古森氏は〃萠 完全な非核化受け入れ C奮的な非核化受け入れ―の3つの可能性を挙げていたが、会談後の流れはの実現に向かって動いていることになる。

 何故、金正恩委員長はトランプ大統領との首脳会談に応じたのか?会談後、金委員長側に新たな情況変化があるにしても、彼がトランプに会うことを決めた最大の動機は、トランプの「マッドマン(狂人)戦略」にあったと古森氏は見た。オバマ時代には米軍が北朝鮮攻撃に踏み切る際のレッドライン(最後の一線)があったが、トランプにはレッドラインは存在せず、「いつ何をして来るかわからない」恐怖が金委員長を首脳会談に駆り立てた。

核武装された反日統一国家の登場?

 古森氏の目線は米朝首脳会談後の大きな歴史変動に向けられていた。とりあえず首脳会談後は北朝鮮の軍事的脅威が後退するであろう。韓国の文在寅大統領の南北融和路線も続き、在韓米軍、さらに米韓同盟の役割・存在が希薄化の方向を示す中で、北朝鮮の対外姿勢はアメリカとの対決を回避、中国との和解を深める一方、日本にはその反日度を高めて来る可能性があると見る。その際、もし北朝鮮の非核化が実現しないことになれば、日本は将来、「核武装された反日統一国家」と向き合わざるを得なくなり、日米同盟の重要性が高まることになる。

トランプ外交の本質―「原則に基づく現実主義」

 トランプ外交は一見、一貫性がなく予測不能と見る向きが多いが、古森氏は限られたトランプの外交演説の中に、明確な方向や体系が示されていると見る。先ずは徹底したオバマ外交批判。大統領選挙戦中の2016年4月ワシントンでの演説でトランプは以下5点を挙げた。顱帽餾欟調・多国間主義・グローバリズムの名の下に、「アメリカの資源」を無駄遣いしている。髻貌洩曾国の負担が少ない。鵝貌洩曾国がアメリカに不信感を高めている。堯縫▲瓮螢のライバルがアメリカを恐れなくなった。)外交政策の明確な目標がなくなってしまった。

 ではどうするか?2017年9月の国連演説ではトランプ外交の指針が以下の点から明示された。顱縫▲瓮螢の国家と国民の利益を最優先する。髻乏宛鬚涼罎念貳崕斗廚覆里漏胴餡箸亮膰△任△襦鵝貌洩曾国との友好・連帯を重視する。堯紡捷颪亮膰◆自由や国際的な法の統治を犯そうとする勢力には、力による平和、強さによる平和を尊重する。そして、この演説のシンボリックなまとめとして「原則に基づく現実主義」という標語を持ち出した。これは一見、トランプ演説にはあまり見られない価値観重視のニュアンスが感じられるが、古森氏は同年7月のポーランドでの演説でトランプが西洋文明哲学の護持に言及したことにも触れ、トランプ外交を理解する上での大事な側面と位置付けた。

日本人の「トランプ誤認症候群」

 トランプ大統領に対する日本人一般の評価は厳しい。愚か、非常識、無知、人種差別主義者等々。これらは部分、部分で見れば当たっているかもしれない。政策面でもメキシコ移民取締り、パリ協定やTPPからの離脱等々に対する批判もそれぞれ個々には頷けるかもしれない。只、問題は部分、部分ではなく、トランプの全体図をどこまで把握しているかということが重要。又、長い選挙戦を戦い抜いてホワイトハウスにたどり着いたトランプを支える支持勢力の実体もしっかり見ておく必要がある。

 さらに日本国内で目につきやすいアメリカの大手メディアであるNYタイムス、ワシントンポスト、CNN等がトランプに対して批判的なことも少なからず日本人のトランプ観に影響している。一方にウォールストリートジャーナルやFOXニュース等、トランプに対して中立的ないし肯定的なアメリカメディアがあることにも留意すべきだ。

「不吉な危険に満ちた時代」が始まる?

 トランプ政権はこれからどんな安全保障政策を取って行くのであろうか?この観点から注目すべき3つの政策文書がある。1つは『国家安全保障戦略』(昨年12月)で中国をアメリカに対する最大の挑戦者と位置づけ、中国がその経済力、軍事力をもってして、米国主導でつくり上げて来た戦後国際秩序の変更とアメリカからの覇権奪取を狙っていると危機感を顕わにしている。

 この2月上院情報特別委員会に列席した国内情報(インテリジェンス)機関のトップ達がまとめた世界規模の脅威評価報告では、中国、ロシアという国際秩序破壊勢力の台頭により、2018年は第2次世界大戦後、最も戦争の危険が高くなった年だと位置づけている。そして今年1月に出た『国家防衛戦略報告』では、「戦争を防ぐ最も確かな方法は、その戦争をやって勝てる能力を保つこと」と、トランプ政権の安全保障観が明示された。

 これら一連の政策文書には、何か「不吉な危険に満ちた時代」が始まる気配を感じる向きもあるだろうが、古森氏はオバマ政権の無為無策が軍事力信奉勢力による国際秩序変更を、尖閣列島や南シナ海、ウクライナ等において許容してしまったとし、トランプ政権の安全保障政策の転換には肯定的である。そこで問われるのが日本のあるべき方向だ。古森氏は米中関係の緊張が高まる中、中国の対日敵対性に基本的な変化はなく、日本は対米同盟を堅持せざるを得ないとする。只、その際、日本の安全保障における「軍事」へのコミットメントあるいは覚悟において、同盟国アメリカとのギャップを如何に埋めていくかが真剣に問われていると鋭く指摘する。

(文責:一橋総研 市川周)

概要
共 催一橋総合研究所
三田経済研究所
日 時2018年6月11日(月) 18:30〜20:30頃
テーマ「「米朝首脳会談後」の世界に日本はどう立ち向かうか?」

米朝首脳会談開催が刻々と迫っている。日本の戦後秩序は対米敗戦と朝鮮戦争勃発によって形づくられたとも言えるが、その歴史的フレームが米朝首脳会談を契機に崩れ始めようとしている。それは、日本にとって「戦後の箍(タガ)」から解き放たれることを意味するのか?あるいは海図なき自立航海への船出を覚悟することになるのか?この歴史的局面を古森義久氏を囲んで徹底的に討議します。
講 師■古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

1963年慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。
75年サイゴン支局長。76年ワシントン特派員。81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。
83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年毎日新聞を退社して産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを経て、2013年から現職。
『日中再考』『オバマ大統領と日本沈没』『憲法が日本を滅ぼす』『「無法」中国との戦い方』など著書多数。
場 所東京都千代田区一ッ橋2-1-1 如水会館 14F 「記念室東」

東京メトロ東西線竹橋駅下車 1b出口 徒歩4分
東京メトロ半蔵門線神保町駅下車 A8・A9出口 徒歩3分
都営地下鉄三田線神保町駅下車 A8・A9出口 徒歩3分
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