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鈴木壮治の【言いたい放題】

第47回 安全保障法制考究と日本の安全保障

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

安全保障というRealismは、情緒的なものを削ぎ落とすものです。

米国の冷徹な国家安全保障戦略による日米安保を「米国に守ってもらうだけで、日本が米国を守らないのは卑怯だ」とし、それに反する勢力が「安全保障法制は戦争法制だ。集団的自衛権を容認すると戦争に巻き込まれる」等の情緒的、感情に訴える「手法」はthe publicを惑わすことはあっても、その安全を高めることには繋がりません。

日本の政治が怠慢であったとしたのは、現実と未来への冷徹な洞察を踏まえた国家安全保障戦略を国民に提案、丁寧に説明するではなく、大国の思惑、テロ国家の恫喝に、その場凌ぎできたことです。

現代社会の平和的秩序は、過去の戦争と想定される未来の戦争への備えにより、 決められ、動きます。戦争を悪として思考的&戦略的視野から削除しても、平和秩序は構築できません。戦争に備えつつ、それを回避するために、総合的安全保障の視点で、外交力などのソフトパワーを縦横無尽に駆使できる体制こそ、日本社会に平和秩序をもたらします。

昨日(7月17日)、国際政治学者ら74名が共同声明を発表しました。その中で「1931-1945年の戦争が、その実質において、日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着している」と言い切っています。

先の戦争での310万人もの戦没者(民間人80万人、軍属者230万人)が、もし、生きて、その言葉を聞くとしたら、どのような思いをされるでしょうか。

そして、74名の中には、自らの戦争の評価を国際社会に委ねながら、国際的に国家主権として認められた集団的自衛権行使は容認しないという「自己矛盾を抱えた」人々もいます。

なぜ、戦前の日本が戦争に引きづりこまれ、悲劇を味わったかの原因への徹底的な究明が為されなかった日本。

その日本には、中東、アフリカ、中央アジアそしてアジア太平洋で繰り広げられている米国、中国、ロシア、EUの盟主を窺うドイツ、英連邦というVirtual Networkを駆使する英国、さらにはイラン、イスラエルなどの国益をかけた情け容赦の無い「鬩ぎ合い」(毎年、30もの武力紛争が起こっている)の本質を地政学的に掴み、戦争・テロを想定・予知し、対応する能力が欠けています。

集団的自衛権行使の前に、共通の敵を認識する必要があります。

前述のように多極化時代のPower Gameは「今日の敵は、明日の味方」が頻繁に起こりうるVolatileなものです。日本が、同盟国より、「共通の敵」をあてがわれる可能性, また日本が「敵」だと思っていた国を、同盟国から「敵」ではないとされる可能性も否定できません。

特に注意すべきは、主権国家同士(特に国連安保理の常任理事国同士)の戦争は、極力避けようとするのが、現在の「国際社会」(主権国家・自由主義・市場経済の枠組みみにより国際秩序を維持しようとする欧米が主導する諸国群)です。

それは、核兵器開発を進めるイランへの欧米の融和策、ロシアのクリミア併合に腰が引けたオバマ政権からも窺い知れます。

中国が、南支那海に軍事拠点を築き、尖閣諸島への「侵略」を窺うのは、その「国際社会」の弱腰を見切っているからです。

では、どうする日本!

( 2015年07月25日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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