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鈴木壮治の【言いたい放題】

第31回 政治を取り戻せ日本!

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

日本の悲劇は政治の無力化

 「郵政民営化」の後は、「地方分権」と、政治家とメディアはキャッチフレーズが好きである。1990年代の初めから、米国は日本へ構造改革を強いてきた。規制緩和、市場原理の導入、小さな政府そして地方分権などである。日本の与党は、米国の下僕のように、その圧力に負けてきた。

 国民は、選挙の時のみ王様であるが、選挙が終わってしまえば、奴隷のごとく、政治と官僚に扱われてきた。日本の政治は、国家主権である安全保障と外交を米国に牛耳られてきた。残された国内の権力は、法的行政執行機関の担い手である国家官僚に握られ、国会議員は、地方と権力者である国家官僚とのつなぎ(ブローカー)に徹してきた。

 そして、メディアは、国民の代表である政治家を馬鹿にすることにより、権力を持たない劣等感を補い、メディアとしての存在感を保ってきた。それは、結局、国民である一般大衆を蔑視していることになる。このように、日本の悲劇における最大の被害者は国民である。

 冷静に日本人が考えれば、権力の源は、個々の市民である我々にある。しかし、バラバラのままでは、力を発揮することはできず、その分有された権力を、国家に信託し集権化し、その権力の傘下に置かれ、義務責任を持つ国民となったわけである。

 よって、中央政府が、その権限を地方に分与する「地方分権」は、おかしい。国民が持つ国家主権を、中央政府と地方政府に分けることを、「分権」と言うべきである。問題は、地方と国の権力闘争ではなく、主権者である国民の信託を受けた地方政府(地方政治)が機能せず、同じく信託を受けた中央政府(中央政治)が国家官僚による乗っ取られている政治の貧困、政治の無力化である。

 その弱い政治の日本では、グロ−バリゼーションによる国家間の競争に生き残っていくことはできない。今、国民が政治家に言うべきは、地方政治と中央政治を取り戻し、その二つを対等の相互依存の関係に持っていくことである。

 つまり、日本がやらなくてはいけないことは、いかに、日本全体の力を高めるかということである。オバマ政権は、下記に述べるように、歪んだ米国の自由と民主主義を回復させるために、大きな政府(中央集権の強化)を目指している。

自由と民主主義の歪みを是正するオバマ

 自由を求め、新世界を切り開いたアメリカ人は、自由の証の私的所有権を守るために、国家を生み出した。そして、個々のアメリカ人が、国家権力を分かち合う、統治の私有化「民主主義」を国是とした。個人主義と国家主義が共存する自由民主主義国家・アメリカの誕生である。

 自由アメリカは、リスクを取る進取の精神を持ち、軍事力、政治力そして金融経済戦略を縦横無尽に駆使し、アメリカに拠点を置く巨大資本のため、新たな「経済自由領域」を拡大してきた。

 その「自由帝国アメリカ」の版図拡大の先兵が、アメリカの金融資本である。物流を伴う交易と異なり、デリバティブ(スワップ、オプションなどの金融派生商品)は、国境をいともたやすく通り抜け、金融マーケットをグローバル化させ、金融を国々の支配下から解き放った。

 新自由主義は、国家の手中にあった公益事業を民営化(正確には、「私有化」)し、企業が持つ倫理性を奪い、市場原理という自由競争の場に放り込んだ。

 市場原理による自由競争は、個人と企業に、所得による階層を生み出し、一握りの勝者による私的経済専制を跋扈させることになった。政治の専制とは、法律を無視する権力の行使を意味するが、経済の私的専制は、社会規範と倫理性を無視して、私欲を最大限まで増大させ、経済そのものを崩壊させる。今回のアメリカ発の金融破綻と、それが引き起こした大不況が、その一例である。

 新自由主義の欠陥が明らかになった今、それを補い、グローバル時代の新経済秩序と企業のあり方を提言、具体化させるのは、アメリカの盟友たるべき日本の役割である。

総選挙で、政党・候補者が国民に問うべきこと

 その日本が、今回のG2における中国のように、米国に堂々と意見を言えないのは、安全保障を日本が米国に依存していることである。よって、今回の総選挙で、候補者・政党が国民に問うことは、「自らの国を自らで守るのか、あるいは、米国の核の傘の下にいながら、核に反対するようなエセ平和国家のままで行くのか」である。その議論の延長線上に、国民の命、生活そして誇りを守る総合的安全保障の国家戦略が生まれてくるはずである。

( 2009年07月30日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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