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鈴木壮治の【言いたい放題】

第25回 安倍首相の突然の辞任と日本の安全保障

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

戦後、国民そして政治家が、真剣に、自国防衛を考え、その具体的な戦略を構築してこなかった。それが、現在の日本の脆弱性につながっている。

戦後、1950年の朝鮮戦争勃発に際して、国を守るために、再軍備を自ら考え、安全保障戦略を構築し、実行すべきであった。しかし、時の首相の吉田は、非武装・米国への軍事的従属という「一国平和主義」を選んだ。そして、なし崩し的に、米国主導により、日本は、再軍備を行なわされた。そして、今に至るまで、集団的自衛権という国家主権を放棄し、自国の安全保障を米国に代行してもらっている。

安全保障は米国任せで、経済に関しては、余り収奪しないで、勝手にやらせてくださいというのが「吉田ドクトリン」としたならば、その時点で、誇り高き日本は消え去ったと思われる。

戦後、まず守るべきは、国の凛とした精神であり、優れた文化・伝統であったはずである。自らを守ることを放擲し、金儲けに走る国に、誇りは存在しない。首相の肉体的・精神的な崩れによる辞任は、精神の骨格を失った日本そのものである。北朝鮮に拉致された同胞を救い出さんとした安倍首相、その闘志が本当であったならば、精神の崩れは無かったと思う。

安全保障という国家主権を、米国に代行してもらっている現状では、米国が、日本抜きで、米国、中国、韓国そして北朝鮮の四カ国で、北東アジアの秩序をつくろうとしても、文句は言えないであろう。

そして、日本がとろとろしている間に、米国、ロシア、中国そして統一朝鮮という核保有四カ国に、日本は囲まれることになるであろう。日本は、米国あるいは中国の完全従属国家になるしかない、「選択の隘路」に入り込んでしまうと思われる。

同じく敗戦国であったドイツは、戦後、自国の再軍備を、与野党間で、真剣に検討した。再軍備に反対する勢力に、当事のドイツ首相のアデナウアーは、毅然として、「自分では、防衛への貢献をせず、米国の親達に、彼らの息子達を犠牲にする決意を求めることはできない」と諭した。

当事の日本と異なり、ドイツの近隣には、フランスのように、文化そして宗教的に近い国々があり、安全保障共同体を創りやすい環境が整っていたの事実である。そして、ドイツの再軍備への要請に対して、フランスは、ヨーロッパ防衛共同体構想を提唱し、ドイツの軍事力を、それに取り込もうとした。欧州国家間の地域安全保障体制構築のための、丁々発止が、現在のEUの基礎を創ったと思われる。

1950年の春、米国は、アジア版NATOとも言うべき、太平洋集団安全保障構想を、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンに提唱した。しかし、日本は、その地域的集団安全保障の枠組みへの、積極的参加への興味を示さなかった。

当事、日本と同じ文化、経済力を持つアジア諸国は存在せず、安全保障共同体創設の実現性は低かったとは思われる。しかし、今や、韓国、台湾、フィリッピンそしてオーストラリアは、それなりの国力を持ち、アジア安全保障共同体を、日本と共に実現する仲間になりえる。今こそ、日本は、地域の集団安全保障を考え、その実現に邁進すべきである。

その実現のために、インド洋における米国、パキスタンなどの戦艦への燃料補給の意味するところは大である。それは、グローバル空間を犯すテロ行為に対して、諸国と連携して戦う国家として当然のことである。それをさせない憲法であるとしたならば、「一国エセ平和主義国家」として、日本は、世界で孤立し、影響力を失っていくしかないと思われる。

( 2007年09月28日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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