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鈴木壮治の【言いたい放題】

第24回 目覚めよ、日本国民!

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

日本の未来は、主権者たる国民が、二つの体制を打破できるかどうかに、かかっている。

その体制とは、

1.立法権・行政権・司法権を実質上牛耳る官僚主導の閉鎖体制

2.集団的自衛権という国家主権を放擲し、その国家主権を米国に代行してもらっている米国従属体制

官僚主導の閉鎖システムの中、政官財の癒着構造により、国民の与り知らぬところで、国富が欲しいままにされてきた。その分け前に与ろうというのが、米国による対日改革要望書であり日米投資イニシアティブであった。そして、歴代の首相は、広く、その是非を国民に問うことなく、国益を無視し、それを素直に受け入れてきた。売国奴と言われても、返す言葉は無いはずである。

閉鎖システムを打開しようと、「国民検査院制度」を志のある政治家が実現しようとしたが、そのリーダーであった石井代議士が、テロに遭い、殺された。その後、それを引き継ぐ勇気ある政治家はいない。

フランスの思想家、ルソーは、英国の議会制民主義を揶揄して、「投票が終わった瞬間に、市民は奴隷になる」と喝破した。議会制民主主義(間接民主主義)により、主権者たる国民が、権力を、与党と官僚に丸投げしてしまっている日本。多くの国民が、ルソーの言葉に、共感するに違いない。

権力を行使する者は、説明責任を持つ。しかし、日本には、国家予算の不正支出を追及する法的制度が存在せず、日本の行政権力者は、その最大の責任を果たさないで来た。

国家予算の見張り役として、会計検査院が存在する。そして、会計検査院法第35条に基づく審査規則により、国家予算の使い方に不正の疑いがあった場合、会計検査院に審査請求が可能である。しかし、審査請求ができるのは、「直接利害関係人」に限られ、オンブズマンなどは、それから除外されている。さらには、それに関係する国民訴訟の制度も確立されていない。

このように、国民の目が届かない中で、官僚主導の閉鎖的な中央集権型の政治が行なわれ、政官財の癒着構造が定着してしまった。その挙句が、800兆円を超す政府負債であり、年金記録の紛失である。故石井代議士の意思を継ぎ、「国民検査院制度」の実現に向け、進むべきである。

集団的自衛権という国家主権を放擲していることから分かるように、戦後、日本は、安全保障に関する国家主権を米国に代行してもらってきた。その見返りに、日本は、通貨・金融戦略の自由を奪われ、1985年のプラザ会議における米国の圧力により、円高を日本は容認してしまった。その後のバブルの発生、そして、崩壊による日本経済の低迷は、多くの人々の記憶に新たである。

官僚主導の閉鎖システムと、安全保障における米国への依存体制からの開放、すなわち、国防における国家主権の回復が無ければ、日本は、外に開かれ、国際貢献を行なえる国にはなれない。それは、集団的自衛権の行使ができなければ、アジア諸国との集団安全保障の枠組みにも入っていけないことからも、明らかである。

地方分権の動きが出始めているが、その前に、米国への従属体制を脱し、日本の安全保障における国家主権を取り戻す必要がある。そうでなければ、地方に、医療、年金、生活保障などの行政権が移れば、中央政府は、やることが無くなり、新たにできた道州政府は、米国の「州」になってしまう。

安全保障の点からも、日本は、国土構造の多核分散化をはかるべきである。そのためにも、憲法を改正し、自立した軍事力を認め、国家総合安全保障戦略を構築すべきである。そして、その戦略下で、地域安全保障と国家安全保障の統一化をはかり、他国の軍事攻勢、テロリストグループによる破壊行為より、日本を守るべきである。

足利幕府の三代目将軍・足利義満は、当時の、明の皇帝より、日本国の王として認めてもらい、明の冊封体制下に組み込まれた。足利家は、明との御朱印船貿易権益の独占支配に一門の繁栄を見出したからであるが、その様は、現在の日米関係に似ている。日本は、その後、応仁の乱から、下克上を経て、ようやく、明の冊封体制から脱却できた。

立法権、行政権を、実質上、牛耳り、それに加えた司法権を持つ官僚権力と、日本の安全保障の国家主権を代行する米国権力。主権者たる国民は、このままの状態を容認するか、二つの権力と戦い、国家主権を取り戻すかの岐路に立っている。しかし、権力構造は、生半可なことでは、打破できない。それは、先述の明の冊封体制打破に、内乱を要したことで、良く分かる。

今こそ、国民が、主権者としての意識を持ち、下記に述べる日本の民主主義の問題点を是正する「民の力」運動」を、力強く行なうべきである。

・日本の議会制民主主義が、うまく、機能しなくなり、議員自体が、特権階級になった意識に囚われた過去の貴族院みたいな身分制議会は、民主主義とは、相反する。

・上からの福祉政策を進める国家社会主義か、社会を崩壊させる恐れのある市場原理主義による自由経済システムかの選択を、国民は迫られている。国家社会主義による福祉国家は、「国民を生かす権力」を国が持つものであり、市民民主主義とは矛盾を来たす。

・市場原理主義に、公平さを旨とする民主主義的価値観が無ければ、経済における格差が広がり、国としてのバランスを失う。

・EU諸国は、国家主権を超国家組織に供し、「国」としては、医療、年金そして生活保障などの分野で、その力を発揮することになる。超国家組織設立に向けて、民主主義的なアプローチがEU諸国間で取られており、各国が十分議論し、コンセンサスを取っていく動きは、まさしく、討議デモクラシィーと言える。一見、これらのEUの動きは、日本の分権化に参考になると思われるが、先に述べたように、中央政府が、米国に代行してもらっている外交・安全保障の国家主権を取り戻さない限り、国としてまとまらず、バラバラな地方分権国家になってしまい、日本の道州政府は、米国の州になってしまう恐れが生じる。

( 2007年09月04日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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