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鈴木壮治の【言いたい放題】

第21回 日本を守るのは国民

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

 日本を守るためには、国民の意識改革が先決である。自らの命、財産そして誇りを支えるのが、国家である。国の主権者たる国民が、守らなくして、誰が、この日本を守るのか。いたずらに、国家を敵視することは、国民自らが、主権者の立場を放棄することに等しい。その主権者としての意識の無さが、官尊民卑という「意識の倒錯」を受容し、国家安全保障戦略を、政府・官僚に丸投げしてしまう。

 国家戦略とは、世界において、国の主権・利益を守るためのものである。そして、実行できない「戦略」は、戦略とはならない。集団的自衛権の行使を認めない日本は、国家戦略に、他国との対等なる軍事同盟を組み込めず、さらには、多国間の安全保障共同体も、戦略的視野に置けないことになる。また、米国の核の傘に守られながら、非核三原則に固執し、米国の核の持込も許さない日本政府。つまり、米国に、軍事的に従属し、保護してもらうが、日本は、米国に、軍事協力はできないとするものである。

 命、財産を他国に守ってもらう国に、誇りは生まれない。誇り高き政治家として、小泉首相は、それに耐えられなかったに違いない。中国の不当な圧力に対し、8月15日に靖国神社を参拝し、日本の誇りを守った。また、インド洋・アラビア海、そして、イラクに自衛隊を派遣し、何とか、日米の非対称な軍事関係に、風穴を開けようとしたのであろう。

 しかし、小泉首相の最大の落ち度は、主権者である国民を、無視したことである。小泉政権は、国民よりも、米国政府の意向を大事にし、憲法そして日米安保さえも逸脱した「テロ特別措置法」、「イラク特別措置法」を制定した。

 日本の安全に直結する軍事戦略は、国会を解散し、国民に、堂々と提案し、国民の意思を確認してから、決定・実行すべきであった。しかし、小泉政権は、郵政民営化のためのみに、国会を解散した。国家のグランドデザインを持たない矮小な政権であったと言える。

 政治を支える二つの道具立てが、外交と軍事力である。小泉首相は、米国との連携を強化したが、東アジアにおいては、確信犯的に、外交不在とした。外交力が弱まれば、それを埋める形で、軍事力が、幅を効かせるようになる。

 日米安全保障協議委員会で、台湾海峡を、日米共通の戦略的関心とした。また、米国は、大量破壊兵器を持つ国に対しては、先制攻撃も辞さないとして、北朝鮮も、その対象とした。そして、外交無き日本、東アジアの軍事的緊張が高まるのは、当然である。

 中国は、反国家分裂法を制定し、台湾の独立を阻止するためには、軍事力の行使も躊躇しないことを明らかにした。また、北朝鮮は、7月5日のミサイル発射という行為により、国の主権を、誰にも侵されないとする国家意思・戦略を、明確にした。両国とも、独立した国家主権を持つことを、日本に見せつけた格好になった。

 小泉政権が、対米追従策を取ったのは、アジアでの覇権を狙う中国の野心に対して、米国の軍事力を背景にしなくては、国益を守れないとの冷徹な判断によったものであろう。憲法で、自らの国家主権である集団自衛権の行使を放棄している日本にとっては、ぎりぎりの戦略的な判断であったと思われる。

 新日米ガイドライン、周辺事態法は、憲法の枠を超えている。憲法は、国民の主権を守るものであり、それを無視して法律を勝手につくるのは、政治家と官僚による国民主権の侵害である。このままだと、政府・官僚が、日本の防衛を、国の主権者・国民の手の届かない所に置く恐れが、生じる。

 国民自ら、日本を守る国家戦略を考え、その戦略の実行を可能とする新憲法を持つべきである。それにより、国の主権者としての国民が、独立国としての主権を回復させ、それを自らのものにすることが実現する。

( 2006年09月01日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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