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鈴木壮治の【言いたい放題】

第20回 未成熟な政治マーケット

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

驚く国民

政治に興味を持たなかった人々も、「郵政民営化無くして構造改革無し」の叫びに、投票場に足を運んだ。そして、小泉首相の圧勝に終わった総選挙。

その結果に、自民党に入れた国民さえも、驚いているであろう。そして、与党に、税、外交・防衛、金融そして憲法改正など、国家の命運を決めるパワーを与えてしまったことを、一体、どれほどの国民が、悔やんでいるのであろうか。

政治と直接金融

代議士とは、国民の代理として権力を振るう、あるいは、権力を奪取する存在である。小泉首相は、エイジェント(代議士)をスキップし、プリンシプルである国民に、直接、訴え、国民の支持を得た。

それは、銀行経由、資金を引っ張る(間接金融)のではなく、証券市場などから、直接、巨額の資金を調達した様に似ている。

未成熟な株式市場は、狡猾な投資ファンドに蹂躙される。特に、日本の株式投資家は、付和雷同型が多く、たいした根拠も無いのに、ちょっとした新技術の開発ニュース、買収戦略に反応し、株を買い。逆に、業績が悪化しそうな噂が広まると、狼狽売りに走ってしまう。その日本の投資家の「特性」を読み、色々な仕掛けを行い、巨額のキャピタルゲインを得たヘッジファンドが多い。

今回の総選挙の結果から、政治においても、株式市場同様、国民の未成熟さが浮き彫りにされた。

政治マーケット

今回の自民党の圧勝を助けたのは、今までの民主党の国民への「教育」である。多くの民主党議員は、国会、委員会などで、官が牛耳る特別会計などを槍玉に挙げた。そして、国民に、官の「横暴」を、何とかしなくてはいけないとの意識を植え付けた。その結果、国民は、その解決策を渇望するようになった。

その民主党が、官支配体制を崩す「きっかけ」になると思われる「郵政の民営化」に反対してしまった。「郵政民営化」を構造改革の旗印にした小泉首相と、腰が引けた印象を与えた民主党。その対比を、国民がした場合、「何を考えているのか、民主党。やる気のある小泉首相」となってしまったのである。

今後の課題

一つの政策に絞り込み、国民の政権への信認を総選挙で問うやり方は、国民を愚弄している。本来ならば、国民投票で問うべきである。それを、小泉首相は、解散・総選挙で行なった。

国家の命運を決める戦略(憲法改正、外交・防衛など)を国民に問うことなく、それらの戦略を決定・実行できる権力を得た今回の選挙。国民を「欺いた」ものとしか言いようが無い。

野党の責任は重大である。アジア外交、財政破綻、エネルギー問題、教育問題、憲法など、国家の骨格を決める政策・戦略を広く世に提唱し、国民が、日本の国としての骨格を考え、未来をどうするかを模索し、投票する「総選挙への風」を、起こすべきである。

国民は、政治的な力を持たない限り、受身になって「不利」を押しつけられる。民の下僕たる官に、眼を光らせ、民のエイジェントである政治家を使うのは、国民である。そのためには、個々が、政治・経済への洞察力と具体的な方向性を考え出す知力をつけなくてはいけない。また、政治・公財政への民の監視機構などの組織も、必要である。

一橋総合研究所がその一助となれるならば、幸いである。

( 2005年09月20日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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