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鈴木壮治の【言いたい放題】

第8回 李登輝氏と会い、憲法を考える

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

 二ヶ月程前、台湾を訪問した際、李登輝前総統にお会いする機会があった。 「これからの4年間で、台湾のIdentityを確立する。その為には、台湾の歴史を若い人に正確に伝えなくてはいけない。そして、憲法を新たに制定すべきである」と、言い放った李氏の眼光鋭く、遠くを見るような感じが、印象的であった。

 総統選挙時には、新憲法制定を訴えていた陳水扁総統が、その後、中国か、あるいは、中国に配慮する米国への気兼ねか、憲法制定を憲法改訂へと「豹変」させてしまった。小さいながらも、台湾独立を鮮明にする台湾団結連盟を牛耳る李氏は、台湾を独立させる動きをつくるのは、自らしかいないと思ったに、違いない。その強い意志が、氏の鋭い眼光の裏にあったと思われる。

 国連で、小泉首相が、日本の常任理事国への意欲を示した。国連の安全保障理事会の常任理事国になるには、日本の集団自衛権行使の是非など、国の根幹に関わる国民の議論が先にあるべきであろう。政治家・小泉として、憲法第9条2項を変え、集団自衛権の行使を認める憲法改正へとつながる「常任理事国就任」を選択したことは、明らかである。

 占領下で、支配されている国に、憲法を押し付けること自体、国際法違反であろう。そして、憲法には、国家非常事態への備えを述べる条も項も無い。戦後、それを鋭く指摘し、憲法改正、それが駄目なら、憲法をいったんキャンセルし、新たに制定せよと述べた政治家は、現在の東京都知事の石原慎太郎氏(一橋総合研究所の創設者・名誉顧問)以外に、残念ながら知らない。

 米国に押し付けられた憲法を一度もいじらず、また、国民にその是非を問うこともしなかった政権与党・自民党が、なぜ、今になって、憲法改正を声だかに叫び、来年の11月には、憲法改正試案を世に問うのか。

 先に、アーミティジ副国務長官が、「日本が、それなりの軍事的役割を果たさない限り、国連の常任理事国就任は無い」として、日本が集団自衛権を行使できるための憲法改正への期待感を明らかにした。

 それが、米国のグローバル軍事戦略、特に、中国との軍事的対峙に、日本の「軍事力」を使おうという狡猾さに引きずられ、憲法改正(集団自衛権の行使を認める)を行うことは、日本にとって二度目の屈辱になる。

 真の憲法の改正は、米国からの隷属体制との決別を明らかにし、日本独自の世界平和・グローバルエコノミーの安定成長の為に貢献することを、世界に宣言することに他ならない。米国追従の小泉政権が、国民の大意を無視し、憲法を改正しようとしても無理がある。議会の2/3以上の賛成により、改正の発議が認められ、その承認には、国民投票(もしくは選挙の際の投票)の過半数が必要である。

 憲法の改正は、国家の大事であり、自民党のみで決めることはできず、すべきではない。自民党と民主党が「大同団結」し、憲法改正の試案をつくり、国民に問うべきである。

 その憲法改正の骨子は、次の通りであるべきと考える。

(1)国、国民の誇りとあらゆる分野での自主独立、命、財産そして文化・伝統を総合的かつ戦略的に守る。

(2) 国際的な危機(軍事・テロ、金融・経済、環境問題など)を、他国そして国際的な機関と連携して、長期的かつグローバルな視野で対処し、解決のために貢献する。

(3)軍事インフラは、金融・経済などの社会インフラを支えるものであり、その視点で、他国との軍事的協調をベースとした金融・経済の交流を行い、グローバルエコノミーの安定成長を実現する。

(4)教育こそ、将来への最大の投資であり、グローバルに通じる創造性としなやかで強靭な知性を持ち、日本人としての誇りを持つ人間を育てる。

(5)国民主権。国民は、国の財政、外交など国の根幹に関わることを詳細に知る権利を持ち、国は、それを、国民に適宜に開示する義務がある。そして、政府・行政の独断を防ぐための民間の監視機関を、設立し、運営する。

( 2004年09月24日 / 鈴木壮治 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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