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鈴木壮治の【言いたい放題】

第7回 国際金融から、日本の大戦略を考える

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

二つの呪縛

 国際金融とは、パワーとパワーとのぶつかり合いであり、情け容赦も無い戦いの場である。 国際金融を、単に、金融の世界だけで考えるのでは、限界がある。国際金融とは、軍事・政治・エネルギー・情報通信などの要素が、複雑に絡み合っているものである。

 米国は、人間の本能に根差したシステムを有するが故に、グローバルキャピタリズムの中で、非常にパワーフルになった。米国は、ステイトキャピタリズムであり、国家が、中長期の国益を生み出す経済地政学を考え、実行し、民間が、短期の利潤を追求している。日本は、良く言って「社会主義先進国」であり、グローバルキャピタリズムについていけず、自国の富の使い方が分からず、経済・金融の停滞に陥ってしまった。

 その国際金融戦略の貧しさが、BIS規制を安易に導入し、邦銀を弱体化し、アジア金融から撤退せざるを得なくした。その間隙を縫うようにして、米銀が、中国の金融市場での主導権を握った。そして、中国経済の破綻前に、米銀の中国企業向け債権に、中国の中央銀行の保証をつけ、邦銀に売りつけようというのが、米銀の狡猾さである。ある米銀が、3年ほど前に、政府保証を頼りに、中国企業に貸したが、結局、中国政府は保証を履行せず、裁判になった。そして、さすがの米銀も、あきらめた経緯がある。

 また、中国に、毎年、何千億というODAを供与し、中国は、それを戦略マネーに変え、台湾を認めている中南米の諸国を、その金で篭絡し、台湾から、中国にくら替えさせている。台湾という地政学的に、日本にとって、非常に大事な国を、中国に押さえられようとしている。

 このように、日本は自らのカネを戦略的に使わず、米国、中国などの戦略国家が、それを、自国の利益のために使っている。それは、なぜか。日本の悲劇は、二つの呪縛から、逃れられなかったことである。一つは、絶対平和主義であり、日本が軍備を持つことは、戦争を引き起こす危険性があるという考えであり、軍事国家に囲まれている状況下で、自分の国の自制心より、他国の自制心に期待しているという矛盾と脆弱さがある。

 二つ目は、何がなんでも、米国一辺倒であり、日米安保は絶対であり、どんなことがあっても、日米関係を崩してはいけないという考えである。この呪縛が、日本人の思考を停止しており、無戦略国家になってしまっている。米国の本質はリスクテイク国家である。資本主義という、もっとも獰猛な原理で動き、核による先制攻撃もいとわない猛獣にも似た米国に。日本が、服従するには危険を伴う。

 このように、国際金融という国益を追求する国家が、思考停止に陥ってしまっていては、国際金融の国家戦略などをたてようがない。米国の金融奴隷になってしまっているのは、この米国一辺倒の呪縛そして思考停止にある。

米国のグローバル覇権の阻止

 一国が軍事的に突出すると、その国は、軍事力を梃に国益を追求したくなる「誘惑」が生じる。また、情報通信、金融などの分野における圧倒的な地位をとった国は、それを自国に有利な様に使うのは、当然と言えば当然である。 例えば、米国は、ドルの還流システムをつくりだし、開発国に向かうべきマネーをも、米国に還流させ、過剰な消費を続けている。

 世界の多様性こそが、世界を強靭にするのであり、米国の単独覇権は、世界を脆弱にする恐れがある。それを阻止するのが、日本の国際貢献である。

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鈴木壮治 / SOJI SUZUKI
一橋総研 統括責任者
株式会社日本リスク管理研究所・代表取締役
NPO法人・新日華産業技術フォーラム・理事
財団法人・日本科学振興財団・理事
一般社団法人・日中文化経済交流発展基金会・理事
日本ラオス文化経済交流協会・理事

静岡県浜松市出身。米国ペンシルヴァニア大学・大学院ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得後、1975年 三井物産入社(化学プラント部)同社で2年間の米国研修を経て、1987年シティバンク入社。デリバティブ・ヘッジファンド担当のアシスタント・バイス・プレジデント。1989年からはチェースマンハッタン銀行のバイス・プレジデントに就任。その後、1996年に株式会社日本リスク管理研究所設立・代表取締役就任。現在に至る。共著に『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)、『国家意志のある「円」』(光文社)、『アメリカ信仰を捨てよ』(光文社)、『「日本浮上」プロジェクト』(ブックハウスジャパン)などがある。
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■第1回 いまこそ改革に民の力を
■第2回 グローバル時代の機密費とは
■第3回 構造改革特区の問題点
■第4回 闘う気があるのか、日本経済
■第5回 イラク・フセイン政権崩壊に思う
■第6回 沖縄金融特区構想
■第7回 国際金融から、日本の大戦略を考える
■第8回 李登輝氏と会い、憲法を考える
■第9回 北朝鮮と日本の防衛
■第10回 グローバル時代の安全保障
■第11回 日本の未来戦略
■第12回 国際金融という闘いの場
■第13回 日本経済再生戦略
■第14回 日本の安全保障戦略
■第15回 日本の外交戦略
■第16回 日本のエネルギー戦略
■第17回 日本の都市革命
■第18回 郵政民営化と国家安全保障
■第19回 日本の情報通信戦略
■第20回 未成熟な政治マーケット
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■第22回 今こそ議論すべき「日本の核抑止力」
■第23回 日米FTA・日中FTAの可能性を問う
■第24回 目覚めよ、日本国民!
■第25回 安倍首相の突然の辞任と日本の安全保障
■第26回 日米関係再構築と環境安全保障戦略
■第27回 グローバル時代の集団的自衛権構想
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■第29回 武士道の倫理は、米国の力と資本の論理を超える!
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■第31回 政治を取り戻せ日本!
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■第34回 WIKILEAKSの「国家機密漏洩」を考える
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■第37回 日本の共同体思想が世界経済を救う
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