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酒井吉廣の″米国・これが真実!″

第十六回 副大統領候補のディベート:ペイリンは実は負けた?

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

 10月2日(現地時間)、セントルイスのワシントン大学で共和党のペイリンと民主党のバイデン副大統領候補同士のディベートが行われたが、その直後の結果は、バイデンの53対ペイリンの47と内容のイメージとは対照的に、意外と僅差であった。

 今回はディベートというよりは、司会者の質問に一つずつ両者が回答しただけである。二人が意見を交わすというようなことは殆どなかった。テレビ局側の配慮、およびマッケイン陣営からの要望だったのかも知れない。何れにせよ、このことがペイリンの支持47%ということに繋がっている。

 さて、ここで10月4日時点でのオバマとマッケインの支持の変化を見てみよう。前回のこの欄で紹介したタイミング、つまり一回目の二人のディベート直後よりも、今回の副大統領候補同士のディベートの後に拡大している。

 細かい分析をしてみれば、これは、ペイリンの負けだったことを意味している。


 今回のディベートの中身をみると、ペイリンは自分の回答の中で掲げた人の名前を間違っていたが、バイデンはそれを訂正しなかった。2000年のゴアであっても、2004年のケリーであっても、ブッシュが人名を間違ったら修正していただろう。副大統領候補のチェイニーとリーバーマン(2000年)、チェイニーとエドワード(2004年)でも、何れも大統領候補と比べればマイルドさや落ち着いた力強さが売りだが、やはり修正していただろう。でも、バイデンは修正をして、むしろ女性に対する品位ある紳士の対応として不適切、というような批判を避けた。

 今回のオバマとバイデンのコンビは、2000年のブッシュとチェイニー、およびゴアとリーバーマンに似た枠割り分担がある。鋭さとフレッシュさで前に出る大統領と落ち着いて全体を見回す副大統領というような具合だ。

 従って、落ち着きと長く深い経験に基づくおおらかさで相手を包む雰囲気をバイデンは作り出したのだ。少なくとも、これは現段階では成功である。しかし、当然、ペイリンもマッケイン陣営もそれを読みつつ、最高ではないにしても良好な結果をとりにいった、ということだろう。

 さて、ペイリンに無難なディベートをさせてそれなりの結果が出ても良しとする戦略はこれからどのように利いてくるのだろうか。

 今後は、今回の非常に神経を使った両陣営にとっての過剰な神経質な心理戦、の結果をどう活かしていくかである。

 それにしても、直後に金融危機安定化法案が通過したが、この行方が両陣営にとって重要な鍵となるのは間違いない。

 10月7日に二回目の大統領候補同士のディベートが行われる。

( 2008年10月05日 / 酒井吉廣 )

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酒井吉廣 / YOSHIHIRO SAKAI
一橋総合研究所 正会員
日本銀行にて、営業局(現金融市場局)、考査局副調査役、信用機構室調査役(マクロ・マネタリーポリシー、ミクロ・プルーデンスポリシー、およびペイメント・システムの中央銀行の三機能に従事)など十五年勤務。その後、アメリカ公共政策研究所(American Enterprise Institute)に主任研究員として三年勤務。現在は、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Study)客員研究員、および関西学院大学非常勤講師。米国犯罪学会員、米国企業再生委員会会員、国際公共経済学会会員、米国リスクマネジメント協会会員。APECや日米財界人会議など欧米での講演、TV・ラジオ出演、FTやInternational Economyなどの英字新聞・雑誌への寄稿多数。「ハンドブック・CMBS(商業用不動産ローン担保証券)」(エール大学ファボッチ教授著)の翻訳を金融財政事情研究会より、「逆プラザ合意」をオーエス出版より出版。
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