HRI
 トップページ > コラム > 酒井吉廣の【米国・これが真実】 > 第十五回 オバマに軍配(第一回目のディベート)ご利用に際して個人情報保護方針 
トップページ
書籍
イベント
一橋総研とは
リンク
お問い合わせ
ご注意
コラム コラム
※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
酒井吉廣の″米国・これが真実!″

第十五回 オバマに軍配(第一回目のディベート)

コラム一覧に戻る プリント用のページを開く このコラムを知人に知らせる
Page 1 of 1
写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

アンケート結果の大差

 米国東海岸時間の26日夜、オバマとマッケインの最初のディベートが行われたが、この直後のCNN調べでは51対38と大差をつけてオバマに軍配が上がった。

 この調査は、司会者が質問する項目に対する二人の回答の内容やその際の態度、更には、各項目に二人が答えた後の二人の間の討論の印象から、「どっちがより適切なことを答え、どちらの話が将来の米国にとってプラスで、その結果としてどっちが勝ったと思うか」ということに対する回答である。

 ここで、注意して貰いたいのは、ここ2週間ほどの両者の支持率。

 これは、ギャロップ社が行っている毎日の支持率の推移だが、9月7日のマッケイン5ポイントリードが、26日にはオバマの5ポイントリードに変わってしまっている点。ペイリン人気で、一度はオバマを逆転したマッケインが再びオバマにリードを許した格好となった。しかも、今回のディベート結果は結構これからの選挙戦に効いてくる。

 なぜならば、今回のディベートは、今の有権者が最も気にする内容について網羅するような感じになったため、これに対する意見を次に変えるわけにはいかない一方、質問内容がこれから一ヶ月間に行われる残り二回のディベートであまり変わるとは思えないからだ。

 質問された項目は次の八つ。

 金融危機対応、減税等の経済政策、救済策の予算への影響と対応策、イラク戦争の教訓と今後、アフガンへの増派の必要性、イランの脅威、ロシアとの関係、米国内でのテロの可能性。

 しかも、この何れの質問でも、どっちの回答や意見がいいと思ったかという観点で、オバマが20ポイント近い差をつけた。

マッケインの疲労感

 もう一つ、気になったのはマッケインの疲れた雰囲気である。1992年の選挙では、父ブッシュが訪日時にレセプションで倒れ、それまでの優勢を一気に逆転される流れに変えてしまった。勿論、当時は景気が良くないとか、前回の選挙で減税を主張しながら公約を破ったというような批判もあったので、一概には言えないが、兎に角、マスコミの論調はこの訪日時のイベントによって彼の大統領としての執務執行能力(体力面)に疑問を呈し、その後、クリントン候補の勝利への流れが固まっていったのは事実である。

 マッケイン候補は、この日までの一週間、各地を飛び回っていたが、特に週後半はワシントンでブッシュ大統領が纏めようとしている金融危機対策を自分が纏める役割を果たすといって勇んでいた。このための時間は大統領選挙のディベートに費やすよりも重要だとの判断で、公開でオバマに延期を呼び勝てたほどである。ところが、この調停役に失敗し、「マッケインのせいで話が壊れた」というような批判まで民主党側から出された。精神的にも疲労が出たのだろう。

 実際の答弁での顔色はあまり良くなく、質問者への回答の中でもいくつかのミスを犯すなど、本人に とっては不満の残るものであった筈だ。

 何よりも心配なのは、父ブッシュと同じように、高年齢が影響していると言われる点だ。今のところ、彼のキャンペーンはこれを回避するのに成功しているようだが、高齢なのは事実であるだけに、いつまた似たような状況が生まれるかも知れない。

 何れにせよ、両者が十月の二回のディベートにどう臨むのかを考えると、今回のディベートで優位にたったオバマは、落ち着いて、確りした対応を示し、経験不測という有権者にとっての不安をどう乗り切るかに絞った対応をしてくるだろう。逆に、マッケインは、ペイリン効果をもう一度使いつつ、ブッシュ大統領主導で9月中にも決まる金融危機回避策などへの自分の関与等を増やすなどで、改めて挽回を図ることになる。

 次のディベートは、10月2日、すぐそこにある。

( 2008年09月29日 / 酒井吉廣 )

※記事の無断転用・掲載は、厳禁する
酒井吉廣 / YOSHIHIRO SAKAI
一橋総合研究所 正会員
日本銀行にて、営業局(現金融市場局)、考査局副調査役、信用機構室調査役(マクロ・マネタリーポリシー、ミクロ・プルーデンスポリシー、およびペイメント・システムの中央銀行の三機能に従事)など十五年勤務。その後、アメリカ公共政策研究所(American Enterprise Institute)に主任研究員として三年勤務。現在は、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Study)客員研究員、および関西学院大学非常勤講師。米国犯罪学会員、米国企業再生委員会会員、国際公共経済学会会員、米国リスクマネジメント協会会員。APECや日米財界人会議など欧米での講演、TV・ラジオ出演、FTやInternational Economyなどの英字新聞・雑誌への寄稿多数。「ハンドブック・CMBS(商業用不動産ローン担保証券)」(エール大学ファボッチ教授著)の翻訳を金融財政事情研究会より、「逆プラザ合意」をオーエス出版より出版。
 バックナンバー
■第1回 ネオコンの経済政策
■第2回 年内には3億人を超える人口大国の強み
■第3回 中南米支配の“象徴”ブレイディ・ボンドの消滅
■第4回 人気低迷下、経済運営に喘ぐブッシュ政権
■第5回 サブプライムの次は医療・保険問題
■第6回サブプライム問題が世界経済に影響を与える理由
■第7回 マクロ経済が意外と落ちない理由
■第8回 昨年(2007年)は金融技術に足をすくわれた
■第9回 大統領選挙の年は景気刺激効果が強いが・・・
■第10回 米国経済の今後を占う“対米投資”
■第11回 カストロの引退でキューバはどう変わるか
■第12回 金融・証券市場混乱でドル安は続く模様
■第13回 大学のビジネス化で大成功し教育水準も向上
■第14回 ペイリンは初の副大統領となるのか?
■第15回 オバマに軍配(第一回目のディベート)
■第16回 副大統領候補のディベート:ペイリンは実は負けた?
■第17回 オバマがリードを拡大(第二回目のディベート)
■第18回 大統領選挙まであと二週間:三回目のディベートとその後
■第19回 「911メモリアル式典」から「ウォールストリート占拠」へ 〜普通に戻りたい米国民感情
■第20回 2012年:アイオワ州党員集会投票結果と共和党の各大統領候補について
TOP PAGEこのページのいちばん上へ
ご利用に際して個人情報保護方針 Copyright (c) 2002-2019 Hitotsubashi Research Institute. All Rights Reserved.