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前田高昭の【海外メディアで読む論点・原点】

第5回 米国のアジア回帰と環太平洋経済連携協定―日本に求められているもの

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写真は、文意と関連なく、季節の風景を入れています。ロード毎に変わりますのでこちらもお楽しみ下さい。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加すべきかどうかをめぐり、日本を二分する論議が行われて2か月近くが過ぎた。マスコミも含めて今は平静な状態が続いているが、これは嵐の前の静けさと言えよう。米政府も日本の交渉参加の是非について検討を始めるなど、関係国が一斉に日本も参加する本格的交渉の開始に備えている。それまで沈黙を守っていた欧米主要紙も、日本の交渉参加への協議表明に大きな関心を示した。今後の議論の参考として、こうした主要紙の論調を改めて紹介したい。

 日本でのTPPに関する今回の論議は11月中旬、アジア関連の二つの主要な国際会議が開かれたことに端を発する。ハワイで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議とインドネシアで開催された東アジア首脳会議である。この前者のAPEC首脳会議で野田首相が日本のTPPへの交渉参加に向けた意思表明をするため、政府として国内の意見集約を図る必要があった。そして、野田首相はTPP交渉参加の協議を関係国と開始する決断を下した。なお、協議の対象国は、シンガポール、ブルネイ、チリ、 ニュージーランドの原参加国と、その後に交渉参加を表明したアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアを加えた9か国である(注記・文末)。

 同時に注目すべきは、APECに続く東アジア首脳会議でオバマ米大統領が米外交のアジア回帰を宣言したことであった。会議には、東南アジア諸国連合(アセアン)10か国と日中韓、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6か国に加え、今回初めて米国とロシアが参加した。さらに、今回の首脳会議では、広く外交安保分野の問題が議題となった。特に、南シナ海での領有権問題を巡る中国と東南アジア諸国との軋轢を背景に、東南アジア諸国を支援する米国と中国の対立が鮮明になった。主要紙も、上述した日本のTPP交渉参加問題とともに米国のアジア回帰に大きな関心を示し、背景にある中国の台頭にも着目して社説や論説記事を発表した。この論議はTPP問題とも関連しており、そのいくつかを紹介する。

日本のTPP交渉参加表明を歓迎する主要紙

 まず、日本のTPP交渉参加問題に関連して11月11日付ワシントン・ポストが社説「日本、自由貿易に向けて大胆な決断(Japan makes a brave move toward freer trade)」で、概略次のとおり論じる。

 「野田首相のTPP交渉参加の決断は、日本が果たすグローバルな役割に歴史的な変化をもたらし、将来の日米関係にも好ましい発展を約束するだろう。野田首相は国内で農業セクターなどからの強力な反対に直面しているが、高度な基準の自由化を覚悟しなければならない。米国でも自動車メーカーなどが日本の保護主義を警戒しているが、TPP成功による経済的恩恵は甚大で、米国もギブ・アンド・テイクの姿勢で臨むべきだ。また、TPPは反中国ブロックではない。TPPは米国が支援するルールにより米国をアジア市場に編み込むのに役立つ。米国と中国のルールは正反対だが、競争力をつけたTPP諸国が中国の政策を修正させることに期待したい。日本政府はあまりにも長い間、明らかに必要な政策を実施する場合ですら、国内既得権益との対決のリスクを取ることに躊躇してきた。日本には今、野田氏という、これまでとは異なった対応に意欲を燃やす首相が出現した。成功すれば、日米双方に巨大な利益をもたらすだろう」

 次いで、英エコノミスト誌も11月12日付論説記事「太平洋を開く(Opening up the Pacific)」で、概略次のとおり論じる。

 「TPPは、日本の交渉参加表明により自由貿易に関するドーハ・ラウンド以来の最大の案件になった。日本を含む10か国の市場規模は欧州連合(EU)を4割上回り、経済の重心の大西洋から太平洋へのシフトを加速させよう。在任3か月の野田首相による大胆な決断は、停滞する日本経済に改革の連鎖を引き起こし、カナダなどの大規模経済圏も参加を再検討し始めるかもしれない。中国が推進するアセアンを核とした自由貿易圏構想に対する大きな挑戦ともなろう。日本はまた、電気自動車、クリーンエネルギーなどのグローバルな技術基準に関して中国を上回る自国の影響力強化に期待している。ただし、野田首相は国内で農業ロビーなどの反対に直面し、克服すべきハードルは高い。米国内でも、自動車や米牛肉の対日輸出問題で日本の参加に慎重姿勢を求める声が強い。その他の小規模経済圏・国家も日本の参加による交渉遅延や内容の希薄化、日本の中途脱退などを懸念している。東日本大震災復興問題を抱える野田首相に十分な政治余力があるかどうかも不明だが、TPP加盟に漕ぎつければ、日本の改革と世界経済にとって一大ニュースとなろう」

 さらに、11月14日付ウォール・ストリート・ジャーナル(以下、WSJ)は社説「第3の日本開国(Japan's Third Opening)」で、概略次のとおり論じる。

 「日本のTPP交渉参加表明はグローバルな自由貿易の潜在力を飛躍的に高め、成功すれば世界貿易機関(WTO)による合意のひな形になり得る。日本は、TPP加盟に向けた政治的意思を貫徹できれば、最大の勝者になるだろう。国内の有力な反対勢力としては農業と医療業界があるが、農業は小規模で非効率であり、農業人口の高齢化が進み将来に望みがない。また、医療、医薬品業界では規制により医師や医薬品企業が保護され、患者は先進的な治療を十分に受けていない。また反対勢力は、日本国内に限らない。フォード・モーターは、軽トラックの米関税撤廃に伴うトヨタのピックアップ・トラックの米市場席巻を恐れている。だが日本の自動車市場は米市場より閉鎖的で、フォードの懸念は杞憂に過ぎない。北米自由貿易協定(NAFTA)が米国で州際トラック産業を育成し、WTO加盟により中国が国有企業改革に迫られたように、日本も個別の権益よりも国益を優先させる決断を下せば、日本経済は第3の開国と呼ぶにふさわしい飛躍を遂げられるだろう

 

米外交のアジア再関与への評価と批判

 他方、米外交のアジア回帰に関連して11月14日付フィナンシャル・タイムズ(以下、FT)は社説「アジア再関与政策は慎重に(Re-engage with Asia, but carefully)」で、米外交の政策転換を経済と戦略の両面で歓迎すべき動きだと歓迎する。そして、米国が貿易面で指導導力を発揮するのは環太平洋経済連携協定(TPP)であり、オバマ大統領は日本が2012年末までに調印することを望んでいるが、国内での農民の抵抗を考えると日本の参加は難しく、そうなるとTPPは寄せ集め集団の協定に過ぎなくなると指摘する。その上で中国を巻き込むことが重要であると次のように論じる。

 「しかし、いずれの協定も中国なしでは肝心なメンバーを欠く協定となり、『中国を村八分』とするクラブと見做されるとかえって不和対立の種になりかねない。米国は中国も含めてTPPの義務を果たせば参加できると述べるが、中国政府がTPPの目標や基準と足並みを揃えるよう支援し、そこに外交的努力を投入すべきだ」

 これに対して15日付ワシントン・ポスト(以下、WP)は「アジアに目を向ける米外交政策(U.S. foreign policy turns toward Asia)」と題する社説を発表、次のとおり、米外交のアジア関与政策への転換を批判する。

 「オバマ大統領の8日間のアジアの旅は米外交政策の基軸を、混乱し戦費のかかったイラクやアフガニスタンから経済成長の著しい東アジアへの新たな関与に転換することが主題となった。米国は今後とも太平洋国家であり続け、同地域は経済のみならず、安全保障からも必要不可欠な地域である、と大統領は述べた。中国を警戒する多くのアジア諸国も、政経軍事面での米国の関与増大を強く望んでいる。8か国が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を表明し、オーストラリアは米軍の恒常的な駐留に合意した。戦争は差し迫ってはいないが、中国の増大する軍事力は監視しなければならない。だが、APEC首脳会議の後、議長を務めたオバマ大統領が受けた最初の質問は、イラン核問題であった。アジアに軸足を移すとしても、中東における米国の安全保障への脅威はなくなってはいない。

 だが、中国の台頭に伴い米国と距離を保っていたベトナムのような国も米との緊密な関係を望むに至った。オバマ大統領は過去の大統領よりもアジア関与政策で成功するチャンスに恵まれ、オバマ政権は多面的な戦略(multifaceted strategy)を用意しているようだ。特に、中国に対しては、いささか強硬な姿勢を見せている。基軸の転換は、貿易の自由化や日本とアジアの新興民主国家との関係緊密化に資するのであれば有意義だが、イラン、アフガニスタン、イラクなどからの挑戦を後回しにはできない。アラブの春は、世界最悪の紛争地域を変える潜在力を持ち、オバマ大統領にとってまたとない重要な外交的機会だ。米国が過去10年間に起きた事象に背を向けるような政策転換は誤りである」

 さらに、19日付ニューヨーク・タイムズ(以下、NYT)は「アジアの中のオバマ大統領(President Obama in Asia)」と題する社説を発表し、論点を中国との関係において概略次のとおり述べる。

 「オバマ大統領は前任のブッシュ大統領と同じく、中国指導部が責任ある行動を取ることに期待して、その国際機関や国際的な合意への関与を優先させてきた。だが中国は、断固とした抵抗を持続的に示さない限り、経済力と軍事力を行使して隣人を脅し、恫喝することが明らかになった。あからさまな例が、南シナ海のエネルギー資源に対する全面的な権利の主張である。オバマ大統領は中国と協調の機会を探ると述べる一方、忍耐に限界があるとし、貿易通貨面で中国に大人として責任ある行動を求めている。また、豪州とは、来年から米海軍の駐留で合意し、米予算の削減はアジア太平洋地域を犠牲にしないと明言した。

 さらに、大統領は自由貿易の恩恵を擁護し、米議会も韓国との自由貿易取引を承認した。こうした動きを他の環太平洋諸国に広げることも重要である。中国に対しても、経済改革の推進を条件に参加を歓迎する意思表示を続ける必要がある。ただし、米国は行き過ぎないよう注意すべきだ。中国は米国の真の意図が中国封じ込めにあると疑っている。米政府は透明性を高め、可能であれば中国を巻き込んでいく必要がある。米中の政治指導者は定期的に対話の機会を持っているが、国防総省も中国との関係強化に努めるべきだ。台頭する中国に対処するには、練達の手腕と中国の行き過ぎた行動を押し返す意思が必要だ」

むすび

日本と太平洋を開くTPP

 以上見てきたように、日本のTPP交渉参加については、いずれの主要紙も野田首相の決断を大いに歓迎している。ただし、その内容は各紙によって若干異なり、WPは日米双方の利益になると指摘したうえで、将来における中国の参加を展望する。WSJは、世界の自由貿易のひな形となる可能性に言及し、特に、第3の開国をする日本が最大の勝者になり得ると指摘する。エコノミスト誌は、TPPがアジアに欧州をしのぐ一大経済圏を誕生させて「太平洋を開く」動きになると述べ、欧州の立場から見たTPPの将来性と潜在力を評価する。

日本が国内に抱える問題に対する懸念

 TPP交渉参加の是非が日本を二分する論議に発展し、特に反対派が集会や街頭デモを繰り広げた。主要4紙とも野田首相が直面する障壁の高さを挙げ、交渉の前途は予断を許さないという見方で一致している。具体的には、農業や医療、自動車産業、牛肉、郵政を問題分野として概括的に挙げる。たとえば、WSJは、農業は小規模で非効率とし、農業人口の高齢化が進み将来に望みがないとし、医療、医薬品業界については、さまざまな規制により患者は先進的な治療を十分に受けていないと指摘、日本も個別の既得権益よりも国家的利益を優先させる決断を下せば、日本経済は第3の開国と呼ぶにふさわしい飛躍を遂げられると主張している。またWPは、日本政府がこれまで国内既得権益との対決のリスクを取ることに躊躇してきたと批判、野田政権に対して高度な基準の自由化を覚悟するよう求めている。さらにエコノミスト誌は、その他の小規模経済圏・国家も日本の参加による交渉遅延や内容の希薄化、日本の中途脱退などを懸念していると指摘する。

 主要紙は、それ以上の各論、たとえば、農業関連では農業の衰退や食糧自給率の低下、世界的な食料価格の高騰に対する対応力低下の懸念、医療制度では国民健康保険の機能縮小、株式会社方式による病院経営の導入、薬価の見直しなど日本国内で議論されている問題には言及していない。また自動車や米牛肉の対日輸出拡大、金融サービス分野で郵政の開放に触れているが、食の安全の問題や海外労働者の流入による賃金・雇用問題への影響、さらには政府調達の開放、簡保などの問題などには踏み込んでいない。したがって、日本国内の論議をどこまで理解しているかは不明だが、FTのように日本のTPP参加は期待できないとする見方も示されている。その一方で、主要紙は日本政府だけでなく、米政府に対してもギブ・アンド・テイクの姿勢(WP)や柔軟な対応を要求していることも注目される。

東アジアに全面傾斜できない米国

 他方、米国は2001年の9.11(同時多発テロ)事件以後、中東地域を米外交の世界政策の中心に置いてきた。その意味で、外交の軸足をアジアに動かすとの宣言は、米国が9.11の悪夢から漸く立ち直ってきたことの証左ともいえよう。主犯と目されたオサマ・ビンラディンもすでにこの世になく、アラブの春も定着してきたかに見える。だがWPは、過去10年間の米国のテロとの戦いや中東民主化などの努力を念頭に置き、中東からの挑戦は未だ終わっていないと強調する。そして中東戦略の重要性を指摘し、米外交の東アジアへの基軸転換は時期尚早だと警告する。確かに、中東情勢の現状を見れば、こうした懸念は否定できない。アジア重視といっても米国としては、中東情勢を睨みながらの対応となるのは避けられない。米国はすでに日本を含むアジアの同盟諸国に相応の責任分担、とりわけ財政的負担を求める方針を明らかにしている。こうした米国の立場を考慮して置く必要があるだろう。

中国が影の主役

 TPP問題を米外交のアジア回帰の観点から論じたFTは、中国を巻き込むことの重要性を強く訴え、中国なしのTPPは肝心なメンバーを欠く協定になると主張する。これに対しNYTは、中国関与政策の必要性を説く反面、中国の体制が持つ専横的体質を指摘し、硬軟両様の姿勢が必要だと論じる。米政府に中東政策の継続を要求するWPも、中国の台頭は監視すべきだと論じる。視点は異なるが、各紙ともTPPの核となっている日米関係の背後に、もう一つの核として中国の存在を明示する。結局、日本国内を二分したTPP問題の影の主役は中国という見方に主要紙のそれも集約されていると言えよう。しかし、その中国は米国の動きを自国の封じ込め政策という目で見ている。だが、WPが指摘するようにTPPは反中国ブロックではないし、そうしてはならないだろう。ましてや、米中対立の新たな冷戦の舞台にしてはならない。では、そのためには、誰が、どのような役割を果たすべきなのか。

日本に求められているもの

 以上から明らかなようにTPP問題には、好むと好まざるとにかかわらず、日本国内の政治経済の問題に加え、米国の世界戦略と関連した日本のグローバルな国家戦略という、二つの課題が絡んでくる。前者の問題は、個別の既得権益と国益の調整、それに伴う政経両面の改革推進を不可避なものとし、停滞する国内経済の活性化が目標になるだろう。TPPが成立した場合の最大の勝利者を日本とするWSJの指摘には、そうした意味が込められていると言え、WPがTPPを日米双方の利益になると主張するのも同様であろう。ただし、それを実現するには、対外交渉と国内論議を十分に尽くすことが大前提になる。関係諸国との公正な交渉を徹底せずには、妥協も中途脱落も国際信義のうえで許されない。また政府は今後の交渉経緯を逐一国民に還元し、透明性の高い論議を重ね、必要な改革の促進などの問題を含む論議を幅広く深める必要があることは、言うまでもない。外交交渉上でも、国民の総意を結集することが時に最大の武器になる。

 同時に、エコノミスト誌が触れているように、東アジアにはすでに日本も一員として主導するアセアン10か国プラス3(日中韓の3か国)もしくは6(日中韓、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6か国)という自由貿易圏構想がある。エコノミスト誌は、TPPは中国主導の本構想に対する挑戦になると指摘する。だが、これは東アジア諸国との通商関係を深める日本にとって、TPPか、アジア自由貿易圏構想か、という二者択一の問題ではない。冒頭で述べた二つの国際会議に参加し、TPPへの加入を検討しているアジアの国はいくつかあるが、この構想と現TPPを結び付け、拡大TPPを推進する立場にあるのは、まさしく日本をおいてない。しかも、日本のTPP交渉参加の表明により中国や韓国、さらには欧州連合(EU)も日本とのFTA交渉に積極的に動き始めている。TPPを通じて日本は新たな外交カードを得たともいえる。日本のTPP参加は、日本が果たすグローバルな役割に歴史的な変化をもたらすというWPの指摘は、まさにそうした意味があろう。だが、日本の役割はこれに留まらない。

 中東にいまだ火種を抱えながら、外交の基軸をアジアに転換すると宣言した米国にとって、日米同盟を結ぶ日本が、この基軸の中枢に位置する。こうした日米関係を基礎として東アジアの安定と経済的繁栄を確立することが、日本にとってのグローバルな国家戦略となる。アジアには台湾、北朝鮮など冷戦時代からの不安定要因が厳然と存在し、反中国に傾斜するベトナムや民主化運動が高まるミャンマーなど新しい展開も見られる。米中は対立ではなく協調が不可欠な状況におかれている。そうした米中関係の緊張を緩和し、アジア太平洋地域の平和と安定に貢献すること、それがまさに、第3の日本開国にとどまらず、「太平洋を開く」ことになり、そして、これを達成して初めて日本は「最大の勝者」になり得るだろう。現政権にどれだけ政治余力が残っているか、と主要紙も懸念を示しているが、賽は投げられたのである。不退転の心構え、柔軟な心積もり、進取の心意気を持って進むことが、日本政府と国民に求められている。(2012年1月10日)

(注記)以下、ウイキペディアによる。「TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementは、アジア太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA)である。環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定ともいう。原協定は、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。2011年現在、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉に加わっている。9か国の交渉国は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指している。日本の野田総理大臣は、2011年11月11日に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したが、拡大交渉会合への参加は許可されず、交渉会合中の情報共有や協議には応じない方針が明らかにされている。

 原協定の目標は、2006年1月1日で加盟国間のすべての関税の90%を撤廃し、2015年までに全ての貿易の関税を削減しゼロにすることであり、産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定のすべての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている。」

( 2012年01月16日 / 前田高昭 )

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前田 高昭 / TAKAAKI MAEDA
日本翻訳協会会員、日本英語交流連盟会員、バベル翻訳大学院(USA)プロフェッサー
東京大学法学部卒。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、東銀リース(株)に勤務。銀行では内外拠点で広く国際金融業務に従事。アジア、中南米、北米(ニューヨークに6年半)などに在勤。東銀リースでは中国、香港、インドネシア、フィリピンなどでの合弁企業の日本側代表、また国内関連会社の代表取締役社長を務める。リースは設備・機械・プラントなどの長期金融を業とし、情報機器、船舶、航空機などが代表例。現在はバベル翻訳大学院(USA)で国際金融翻訳講座を開講するほか、バベル社翻訳誌「リーガルコム」の「World Legal News」欄に毎号寄稿。同誌を承継したWEB版「The Professional Translator」に現在、定期寄稿中。訳書に「チャイナCEO」(共訳)ほか。米英ジャーナリズムのアジア、日本関連記事を翻訳、論評する「東アジア・ニュースレター」をメルマガに連載中。
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